認知症ニュース

☆イチョウ葉エキスに認知症の予防効果なし

USフロントラインニュース 更新20081204 18:45米国東部時間

 

 記憶力の減退を抑える効果があると言われ、その含有を強調するサプリメント(栄養補助食品)も多いイチョウ葉エキス(ginkgo biloba)には、老人性認知症の予防や発症を遅らせる効果はないという調査結果が発表された。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、調査を行ったのは、バージニア大学薬学部のスティーブン・デコスキー博士が率いるチーム。正常な認識機能を持つ人と軽い認知障害を持つ人がほぼ半数ずつという75歳以上の3069人を対象に、1日2回イチョウ葉エキスを服用するグループと偽薬を服用するグループに分けて、平均約6年間にわたり認知症の発症状況を調べた結果、全体で523人が認知症を発症したが、同成分を服用したかどうか、または試験開始時点で軽い認知障害があったかどうかによる発症件数の違いはほとんど見られなかった。

 全体の認知症発症率は、エキス服用グループで年間100人中3.3人、偽薬グループは同2.9人だった。脳卒中の後に発症する脳血管性認知症にはイチョウ葉エキスが有効であることをうかがわせる徴候も見られたが、結論を下すにはさらに研究が必要だという。調査報告書は米医師会ジャーナル(JAMA)に掲載された。

 報告書は、年間2億5000万ドルに上る米国人のイチョウ葉サプリ購入費が、ほとんど無駄づかいの可能性があると指摘した。記憶の研究を専門とするデューク大学のムラリ・ドライスワミ博士は、今回の報告について「まともな店で売られているから効果があるだろう、と考える人々への警鐘」と話した。


アルツハイマー進行 米ぬかに抑制効果 シンポで発表 

10月27日 朝日新聞朝刊

記事概要:26日和歌山市での、国際シンポジュウム「コメと疾病予防」でANM(フェルガード)連絡会々長をなされた中村重信広島大学名誉教授(現・洛和会京都臨床試験センター所長)が発表したもので「ーこれまでも各種ポリフェノールやビタミンなどの認知症の改善・予防効果が報告されているが、フェルラ酸の臨床試験で効果が確認されたのは国内で初めてという。ー」 と記事は伝えております。

 ★「米ぬか成分 認知症に効く」

(10月27日/朝日新聞)
米ぬかから抽出された天然のポリフェノールのフェルラ酸に、アルツハイマー病患者の認知機能の低下を抑える効果がある、という臨床試験結果が26日、和歌山市であった国際シンポジウム「コメと疾病予防」で発表された。これまでも各種ポリフェノールやビタミンなどの認知症の改善・予防効果が報告されているが、フェルラ酸の臨床試験で効果が確認されたのは国内で初めてという。発表したのは中村重信・広島大名誉教授(現・洛和会京都治験・臨床研究支援センター所長)

アルツハイマー病の通院患者143人の協力を得て、フェルラ酸入りの健康補助食品(フェルガード)を9ヵ月間投与した。

症状の変化を得点換算して調べるやり方で、軽度、中度、重度の三つのグループに分けて調査した。アルツハイマー病患者の認知機能は通常、時問の経過とともに低下し続けるのに、軽度のグループは試験終了時まで改善の状態が続き、中度のグループも6ヵ月後まで改善の状態が続いた。重度のグループは3ヵ月後まで横ばい状態で、その後は低下した。(松本健造)


☆あなたの笑顔を見ています 認知症患者、表情の判別力は低下せず
2008年10月24日 中日新聞夕刊

介護の時は笑顔を忘れないで−。認知症で記憶力が衰え、誰の顔かを思い出せなくても、顔の表情から喜怒哀楽などの感情を読み取る力はあまり低下しないことが認知症介護研究・研修大府センター(愛知県大府市)と国立長寿医療センター(同)の調査で明らかになった。介護現場で患者と心を通わせる際の介護する人の「笑顔」の重要性がデータで裏打ちされた。

 調査は昨年度までの2年間、60歳以上の認知症高齢者32人と、同年代の健常者63人を対象に実施。有名人の写真を見せ、名前や職業を問う「顔同定」や、笑った顔や怒った顔などの写真を見せ、その人の感情を問う「表情認知」の正答率などを測った。

 顔同定では認知症の軽度、中等度の各グループの正答率が33%、22%と、症状が進むにつれ下がったのに対し、表情認知は96%、86%と、健常者とあまり差が開かなかった。

 国立長寿医療センターの中村昭範・脳機能再生研究室長(48)は「認知症が進んでも、表情から気持ちを察する脳の仕組みは失われにくいことが分かった」と分析。笑顔の人を見ると自分までほほ笑んでしまうなどの現象が「ミラーニューロンシステム」と呼ばれる神経ネットワークの働きによることが最近の研究で判明しており、今回の調査が「認知症高齢者にもこの機能が保たれていることを間接的に示す結果となった」と指摘する。

 介護現場で、言葉や記憶に頼るコミュニケーションが難しくなっても「介護者の笑顔が相手を幸せな気持ちにし、しかめっ面はその逆の効果をもたらすことを知っておくことは重要」と話している。


☆「介護は恩返し」長門裕之、南田洋子の認知症涙で語る

10月3日16時59分配信 夕刊フジ

俳優の長門裕之(74)が、結婚47年を迎えた妻、南田洋子(75)の認知症について語り始めた。きょう3日、テレビ朝日系「徹子の部屋」に出演、介護について涙ながらに打ち明けている。 長門によると、3年前から南田に物忘れの症状が出始めたという。「洋子がすべてを忘れていく中で、2人きりの生活を楽しく過ごし、最後に『楽しかった』と思わせて2人で(人生を)まっとうしたい」。振り絞るように告白する長門に、南田と同じ年の黒柳徹子も、もらい泣き。 長門は介護がしやすいように、と長年住んだ豪邸を売り、暮らしやすいマンションに引っ越したといい、「洋子への恩返し。男として夫として充足感がある」と振り返っている。 南田の認知症については2月に「週刊女性」で、南田の記憶が薄れていき、深夜に徘徊することや、排せつ物の世話を長門が引き受けていることを告白。9月14日放送のフジテレビ系「ボクらの時代」でも弟の津川雅彦(68)、めいの真由子(34)と3人で出演。長門は「妻に何もしてこなかったが、今は、介護が必要となった妻の世話ができてよかったと感じている」と話している。 介護費用の捻出も大変だ。長門は、18日公開の映画「夢のまにまに」に主演、津川が監督した「次郎長三国志」にも出演するなど俳優活動に再び力を注ぐ。演技力に定評があるベテラン俳優とはいえ、津川の後押しが頼みの綱だ。 芸能界きってのおしどり夫婦といわれた長門と南田は1961年に結婚。南田は長門の父(俳優の沢村国太郎さん)の介護を15年近く続け98年には当時を振り返った著書も出していた。その南田を長門が介護するとは、なんという運命の巡り合わせか。


 

高齢者調査:「老老介護」が初の3割超 深刻な生活浮かぶ

9月10日毎日新聞


 家族間で介護する世帯のうち、高齢者が高齢者を世話する70歳以上の「老老介護」世帯の割合が初めて3割を超えたことが、厚生労働省が9日公表した07年国民生活基礎調査で分かった。夫婦両方またはどちらかが65歳以上か、65歳以上の単身で暮らしている世帯の数も1000万を超え、高齢者世帯の過半数が「生活が苦しい」と感じるなど、超高齢化社会の深刻な生活実態が浮かんだ。

 調査は86年から毎年行われ、約23万世帯の回答を集計した。今回は3年に1度の介護や健康に関する調査もした。

 07年6月現在の推計世帯数は4803万世帯で、65歳以上がいるのは1926万世帯。86年調査から、ほぼ倍増した。うち433万世帯は単身、573万世帯は夫婦のみで、いずれも過去最多を更新。合計で1006万世帯と初めて1000万世帯を超え、全世帯の約21%を占めた。

 高齢者世帯の平均年収(06年)は306万円で、全世帯平均の6割以下。世帯1人当たりの収入も全世帯平均を約12万円下回った。暮らしが「苦しい」と答えた割合は52%に達した。

 家族の介護では、主に事業者に任せている世帯が12%と前回調査(04年)より2ポイント下がり、6割が同居家族による介護だった。このうち介護する側が70歳以上の割合は34%と前回調査より6ポイント上がり、70代を介護している44%が同じ70代だった。介護時間は「ほぼ終日」が22%、「半日」が10%で、6割以上の介護者が「悩みやストレスがある」と答えた。

 厚労省統計情報部は「世帯の高齢化、小規模化が進み、高齢者を介護する若い世代の家族が減った。事業者の介護サービスも使われているが、家族の負担は依然大きい」と分析している。【清水健二】


☆<老人ホーム>無届けが370施設も 総務省が改善勧告へ
9月5日8時20分配信 毎日新聞

 

設置時に義務化されている都道府県への届け出をしていない有料老人ホームが、少なくとも370施設に上ることが、総務省の行政評価で分かった。立ち入り検査や改善命令の対象から漏れる恐れもあり、同省は5日、厚生労働省に改善を勧告する。

 総務省は22都道府県の有料老人ホーム計2362カ所の実態を調査した。有料老人ホームに該当するのに届け出がなく、行政が存在を把握していなかった例が東京、愛知など5都県で計17施設あった。当局が把握していたものの、老人福祉法に基づく届け出がなかった施設は14都道府県で計353施設に上った。総務省行政評価局は「都道府県に実態を把握させるよう、厚労省に求めたい」と話している。

 また、介護サービスを担当する職員の人手不足解消に向け、介護報酬の引き上げなどの対策を取ることも、厚労省に勧告する。介護保険制度に関する総務省の勧告は初めて。職員賃金の財源となる介護報酬は来年度に改定を控えており、勧告内容を改定の議論に反映させる狙いがある。

 ケアマネジャーや介護福祉士といった介護職員は全国に約197万人いる。一方でサービスの利用者は約338万人(06年度)と、00年度の約184万人からほぼ倍増。介護関連の有効求人倍率は2.1倍と全職種平均(0.97倍)を大きく上回るが、離職率も21.6%と、全職種平均(16.2%)より高い。

 離職率の高さについて勧告は「低賃金など職場環境の厳しさが原因」と指摘。厚労省が離職原因や賃金、事業者の財務状況を調査・分析していないとして、実態を調べて介護報酬引き上げなどの検討を求めた。

【石川貴教】


☆サラリーマンの心の病、企業の56%が増加傾向と回答 6割超が30代
2008.9.2 17:06 産経ニュース

社会経済生産性本部のメンタル・ヘルス研究所(小田晋所長)がまとめた社員のメンタルヘルスに関するアンケートによると、約56%の企業が「心の病は増加傾向」にあるとしているた。年齢別では、約6割の企業が30代社員が最も多いとしており、バブル後入社世代の中堅層で、一層の心のケアが必要な状況が浮き彫りになった。

 心の病について、増加傾向と答えた企業の割合は56・1%で、平成18年の前回調査時から比べて5・4ポイント減少した。14年の調査開始以来初めて減少したものの、6割弱と依然高い水準にある。従業員の規模別で見た場合、従業員3000人以上の大手企業では66・2%が増加と答えており、大企業ほど心の病が増加する傾向にあるという。

 生産性本部では、「納得感や信頼感、仕事の価値観などを共有するコミュニケーションの減少が増加傾向に大きくかかわっている」と分析している。同調査は2年ごとに行われており、今年4月に上場企業2368社を対象に実施、269社から回答を得た。
 


 ☆介護職確保へ支援強化…厚労省、費用の一部助成へ
8月25日3時4分配信 読売新聞


 厚生労働省は24日、深刻な人材難に直面している介護職を確保するため、介護福祉士養成施設や介護サービス事業者への支援を強化する方針を固めた。

 具体的には、〈1〉介護現場で働き始めた人の職場定着〈2〉働いていない有資格者の参入・復帰〈3〉介護職を希望する人材の発掘−−に乗り出した場合、費用の一部を助成する。関連経費を2009年度予算の概算要求に盛り込む。

 職場定着策では、ベテラン介護職を介護現場に派遣し、新たに働き始めた人への指導や悩み相談に当たってもらう。有資格者の参入・復帰策としては、専門学校などの養成施設での講習・研修や職場体験を通じて働く意欲を引き出すことを目指す。一方、人材発掘に関しては、事業者が高校と連携する仕組みを構築する。 


★「集団対象に予防医学研究 留萌に「コホートピア」道内初、来春から」

(8月16日/北海道新聞)


【留萌】留萌市立病院(笹川裕院長)(写真)は、三十五歳以上の市民を対象に脳卒中、認知症などの予防に重点を置いた臨床研究「コホート」に、来春から道内で初めて着手する。これに向けて、同病院は道内の医大、道などと連携して「留萌コホートピア構想」を立案中で、同構想を推進するNPO法人の年内設立を目指す。
コホート研究は、一定の集団を対象に一、二年に一回、五年を一区切りとして医師が健診を繰り返し、観察、指導を続けて脳卒中、認知症、生活習慣病などの原因や予防策を突き止めるもの。市立病院によると、全国の自治体で取り組みが増えているが、道内では初めてになる。
市立病院は札幌医大、旭川医大、北大の研究者と共同で、研究の担い手のNPO法人「るもいコホートピア」を年内をめどに発足させる。約二万六千人の市民のうち三十五歳以上の約一万七千人から協力者千人を募り、来春から研究を始める。将来は三十五歳以上全員を対象とする方針。
研究メンバーの多田光宏北大准教授は「留萌は対象者の三十五歳以上の人口移動が緩やかで、基幹病院が一つに集約されており、研究者にとって魅力的な地域」と話す。
研究費用は準備段階で二、三百万円の見込み。大学の研究基金や国の補助金などで賄う予定。市立病院は道へも財政支援を要請している。
コホート研究の一環として、市立病院は市内の道の旧宿泊施設「萌明(ほうめい)荘」(現在閉鎖中)を診療所に転用を計画。新たに医師三人を配置、対象者の健診、保健指導をし、住民の健康相談にも応じる。
留萌市などは、コホートの進展により将来は医師や研究機関の誘致、医療機器メーカー、製薬会社の進出を促し、沈滞が続く地域の活性化に結びつけたいと期待している。
(北海道新聞 2008年8月16日 原文のまま)


★「行方不明の高齢者情報共有 千歳の50団体 早期発見へ連携」

(8月1日/北海道新聞)


千歳市社会福祉協議会と、市内の理容店や新聞販売店、電気ガス事業所など五十団体が協力し、認知症の高齢者や障害のある人の行方不明の情報を共有し、早期発見を目指す「千歳地域SOSネットワーク事業運営協議会」が三十一日、発足した。民間事業者が主体になった団体は道内でも珍しいという。

行方不明の通報を受けた千歳署が、家族と相談の上、名前や年齢、容姿などを記した書類を作成。同ネットワーク事務局がこれを受け、全団体に送信する仕組み。これにより約千五百人が情報を共有し、早期発見や保護に協力できるという。

ネットワーク設立は昨年十一月、市内で高齢者が自宅を出たまま行方不明になり、四カ月後の今年三月、遺体で発見されたのがきっかけ。今年二月にも精神障害のある男性が行方不明になり、一カ月後に遺体で見つかったこともあり、「身近な地域の力で命を守ろう」との声が高まった。

市社協事務所で開かれた設立総会で、同ネットワーク会長の力示武文市社協会長は「他地域に負けない組織を目指したい」と力を込めた。千歳署の山田健二署長は「市民の生活を守る警察にとっても心強い」と期待した。
千歳署によると、昨年、管内の千歳、恵庭で捜索や、保護を受けたのは約五十人。同署は「早期発見が命を救う第一歩。遠慮なく通報を」と呼びかけている。(荒谷健一郎)
(北海道新聞 2008年8月1日 原文のまま)


☆介護ビジョン会議を設置  舛添厚労相

2008/07/22 12:05   【共同通信】


 舛添要一厚生労働相は22日午前の閣議後の記者会見で、職員の人材不足や医療との連携など介護の問題を話し合う「安心と希望の介護ビジョン」会議を設置、年内をめどに介護保険制度の在り方など将来のあるべき姿を示すビジョンを策定すると発表した。

 

 舛添氏は「年末に介護報酬の改定率が決まり、できれば上げたいと思っている。ただ保険料を上げざるを得なくなるので、それが一番大きな課題」と強調した。

 

 会議は、遠距離介護について考えるNPO法人パオッコの太田差恵子理事長や、袖井孝子お茶の水女子大名誉教授ら有識者12人で構成し、介護関係者のヒアリングや介護現場の視察を予定している。

 


☆介護職員:1年間で22%が離職 7割以上は勤務3年未満

 (7月19日毎日新聞)


 06年10月から昨年9月までの1年で、介護職員の5人に1人が退職し、そのうち7割以上が勤務期間が3年未満だったことが、財団法人「介護労働安定センター」の調査で分かった。職員の6割が「働きがい」を期待して就職している一方、「仕事の割に賃金が低い」と悩んでいる職員は半数に上った。職員が仕事に意欲を持ちながら待遇面への不満・不安から早期離職するケースが多い実態が浮き彫りになった。

 調査は、無作為抽出した全国の介護事業所約1万7000カ所・職員約5万1000人を対象に実施し、約3割が回答した。

 1年間の離職率は22%。離職者の勤続年数は「1年未満」が39%、「1年以上3年未満」が36%だった。就職理由と仕事上の悩みについて、複数回答で尋ねたところ、「働きがい」は56%、「人の役に立ちたい」は35%で、「仕事の割に賃金が低い」は49%、「介護労働に対する社会の評価が低い」は38%だった。

 03、06年に介護報酬が減額改定されたことで、事業所の19%が人件費を削減。事業所の65%は「現在の介護報酬では十分な賃金を払えない」と回答。さらに、52%は「人材育成の時間がない」とし、雇用者側も離職を食い止める策を打ち出せない状況が浮かんだ。

 ◇厚労省研究会が中間報告書案まとめる
 介護現場の人材確保策を検討する厚生労働省の研究会は18日、介護保険制度見直し時期に当たる来年度の介護報酬改定を議論する際、介護職員の賃金など、労働条件改善に配慮するよう求める中間報告書案をまとめた。

 報告書案は他に、雇用管理体制の強化が必要と提言。早期離職を防ぎ、職員の経験と専門性を高めるため、労働に見合った賃金や人事評価の必要性を強調。介護職に対する「きつい」「低賃金」というマイナスイメージの解消や職員の8割を占める女性のため、育児休業の取得促進−−なども盛り込まれた。【夫彰子】

 


☆「認知症、2035年には2倍の445万人に 厚労省推計

(7月6日/朝日新聞)


全国の認知症高齢者の人数は05年の約205万人から、2035年には2.2倍にあたる約445万人になる、と厚生労働省研究班が推計を出した。増加は、埼玉県の3.1倍を筆頭に首都圏で大きく、愛知県や大阪府などでも2.5倍を超える見通しだ。
在宅や病院、特別養護老人ホームなどを対象に80年代、認知症をもつ高齢者の割合を調べた実態調査を使い、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口から算定した。
推計では、団塊の世代がすべて65歳以上となる2015年時点ですでに、05年の1.5倍の約302万人に上る。研究班の粟田主一・仙台市立病院神経精神科部長によると、主な増加要因は高齢化という。
ただ、算定に使った80年代調査は当時の知見から、認知症とされた人はアルツハイマー型や脳卒中後の重症患者に限られていた。その後、診断技術が向上したほか、認知症の原因となる別の病気がみつかり診断基準が明確になっている。これらを考慮すると、今回の推計より患者数は増える可能性がある。
また、現在は認知症に進む前段階の「軽度認知機能障害」も診断・治療できるため、対応が必要な高齢者はさらに増えそうだ。
都道府県別推計では、35年時点で05年比の増加が最も大きいのは埼玉県の3.1倍。千葉県と神奈川県の2.9倍▽愛知県2.6倍▽大阪府2.5倍▽東京都2.4倍が続いた。団塊の世代が多く住むベッドタウンで増加が著しい。最も低いのは島根県の1.5倍。粟田部長は「地域の実情に応じて、都道府県や市町村ごとにきめ細かい対策を考える必要がある」と話す。(沼田千賀子)
(Asahi.com 2008年7月6日)


Dr.コウノが「認知症ねっと」に登場!

        ↓↓↓

 http://www.chihou.net/ の掲示板

2008.6.30


ドクターコウノ認知症ブログ

2008/06/23 介護通信電子版 Kaitsu E 378号
 

日本の老人医療を変える!
ドクターコウノ全国行脚第一弾 札幌夏の陣

●平成20年7月26日(土)14:00-17:00 

札幌サンプラザ(北区北24条西5丁目)
定員150名 無料 基本的には医療従事者向け
申し込み  NPO法人アイケアネット (電話 011−232−2707)
内容 レビー小体型認知症を中心に

 


☆「最期まで自宅」は1割、国の目標と乖離
6月6日18時16分配信 医療介護情報CBニュース


 国民の6割が病院以外での看取りを希望しているとして、在宅死の割合を2025年までに4割に引き上げるという厚生労働省の目標について、神奈川県保険医協会が実施した県民意識調査では、「最期まで自宅を望む」と答えた人が1割程度にすぎず、厚労省の“思惑”と現実には大きな乖離(かいり)があることが6月6日までに分かった。青森県保険医協会が昨年行った調査でも、同様の結果が示されており、終末期医療の在り方が問われそうだ。

 終末期医療については、厚労省の「終末期医療に関する調査等検討会」が04年にまとめた報告書で、「(看取りについて)自宅を希望している国民が約6割」と発表。これを受け、厚労省は「患者の意思を尊重した適切な終末期医療を提供する」として、25年までに自宅等での死亡割合を現在の2割から4割に引き上げることを目標に掲げている。

 神奈川県保険医協会では、脳血管疾患の終末期医療に関して、県民がどう考え、どのような不安を持っているかなどを把握するため、60歳以上を対象に意識調査を実施。3月からの約1か月間に回収できた143件を集計した。

 脳血管疾患や認知症などで入院中、退院を勧告された場合に希望する療養場所については、「別のリハビリテーション病院」が39.8%、「長期療養できる医療施設」が14.6%と、医療系の施設が過半数を占めた。これに「介護施設」の12.5%を合わせると、自宅外を望む人が66.9%となった。
 一方、「自宅」と答えた人は21.6%。このうち3分の1以上の人が「現在は(自宅で療養する)条件がない」とした。

 また、自宅で療養中に肺炎などの疾患を併発した場合の療養場所については、「(必要な治療を受けるために)病院に入院を希望する」が58.7%、「介護施設」が15.3%で、「(医療や介護を受けながら)最期まで自宅を望む」は12.5%にとどまった。この「最期まで自宅」という希望に関連して、実際に「自宅で看取ってくれる」と答えた人はゼロだった。
 病院に入院することを望む人に、その理由(複数回答)を尋ねたところ、「回復の可能性があるなら、治療を受けたい」が53.5%、「自宅や施設での治療内容が不安」が45.2%に上った。

 さらに、家族による自宅での看取りについては、「無理」が45.9%で、「看取ってくれる」は9%にすぎなかった。
 自宅で最期まで療養する場合の課題(同)については、「家族の負担が大きすぎる」が55.9%、「(容態の)急変時の対応に不安」が49.6%、「家族の高齢化」が43.3%などだった。

 在宅死については、青森県保険医協会が590人の県民を対象に実施した調査でも、脳血管疾患や認知症などで入院中、退院を勧告された場合に希望する療養場所について、「リハビリテーションができる病院」が47%、「長期療養できる医療施設」が14%と、医療系の施設が60%を超えており、「自宅」は11%だった。
 

↓↓介護知恵モール:自宅で介護どうする?

http://www.net-kaigo.com/navi_step/step1/index.html


☆24時:東根・認知症の女性が追突事故 /山形

毎日新聞 2008年6月3日 地方版


 2日午前11時20分ごろ、東根市中島東通りの県道で、同市営団南通り、派遣社員、森清さん(66)が、道路左端を自転車で走行中、後ろから来た同市板垣大通り、無職の女性(71)の乗用車に追突された。森さんは全身を強く打ち軽傷。乗用車はそのまま、はみ出し走行や蛇行運転をしながら走り去り、約10分後に電柱に衝突し止まった。女性に認知症の症状がみられるという。(村山署)

 


☆高齢者虐待126件 前年比21件増

琉球新報2008年5月28日


img483d036a9753f.jpg 65歳以上の高齢者への虐待があったと県内市町村窓口に報告された人数は、2007年度は126人に上り、調査を開始した06年度より21人増えたことが県の調査で分かった。
虐待を受けた高齢者のうち54・8%に当たる69人が認知症だった。虐待の背景には介護疲れがあるとみられ、県は「見守りや地域のネットワークを強化し介護者を支援したい」としている。
 報告人数が増えたことについて、県は「法施行後、虐待への認識が高まっている」と指摘する一方で、報告数は氷山の一角とみている。
 虐待を受けた高齢者は男性14人、女性112人で、女性が9割近くに上った。年齢は70代、80代が多い。虐待を受けた高齢者は「支援・介護の必要がある人」が78人(61・9%)を占めた。市町村別に見ると、那覇市49人、沖縄市23人、うるま市、宮古島市がそれぞれ10人の順で多かった。
 養護者による虐待(複数回答)を種類別に見ると、暴行などの「身体的虐待」が82人で最も多く、次いで著しく心を傷つける言動などの「心理的虐待」62人、財産が不当に奪われるなどの「経済的虐待」47人、「放棄・放任」31人、「その他」3人。
 虐待者と「同居」が105人で「別居」は21人。虐待する側との関係は「息子」が66人と最も多く、「配偶者」24人、「娘」15人と続いた。
 虐待の中には、高齢者本人が認知症のため、夜間に不穏状態になることが多くなり、介護者は不眠の日々が続き疲れが蓄積。突発的に手が出てしまったという事例もあった。
 県は06年4月に施行された高齢者虐待防止法に基づき、市町村の虐待数や種類などを調査している。虐待があった場合、市町村はケースごとに原因などを調べ、対策を講じている。


☆三愛病院 「物忘れ外来」新設 初期の認知症に対応 登別

(05/24 14:02)道新


 【登別】認知症の早期発見、治療につなげようと、市内中登別町の三愛病院(千葉泰二院長)は二十六日、「もの忘れ外来」を新設する。家族や本人が気軽に相談できるようにファクスで事前問診を行い、その後、予約制で診察、検査を行う。

 同病院を運営する法人には認知症高齢者のためのグループホームなどがあるが、初期症状に対応する部門がないため開設を決めた。認知症の専門外来は、市内では登別厚生年金病院にもある。

 事前問診後の診察は一人一時間半。毎週月曜日午後一時半からと三時から。問診や画像と血液の検査を行う。千葉院長は「認知症は早期治療で進行を遅らせられる」と話す。予約は医療福祉相談室(電)0143・83・3207へ。(上野香織)


☆認知症、適切な介護を サポーター養成講座 体験談など紹介 

函館(05/23 14:49)道新
 
サポーター養成講座で講演する函館認知症の人を支える会の佐藤会長
 
 認知症の人の支え方を学ぶサポーター養成講座が二十日、函館市内のみちのく銀行柏木町支店(東谷隆支店長)で開かれ、函館認知症の人を支える会の佐藤悠子会長が、自ら六人を介護した体験談を交えながら「認知症の早期発見と治療と適切な介護のために」と題して講演した。

 同支店の顧客でつくる年金みどり会(高田芳恵会長、二十五人)が主催し、地域の高齢者ら二十人が参加した。養成講座は厚生労働省が進める「認知症サポーター百万人キャラバン」の一環で、受講生にはサポーターの証しとして「オレンジリング」が手渡された。

 講演で佐藤会長は「家族に記憶障害など認知症らしい症状が表れた人がいても、家族は病院で診断を受けさせるまで三−五年もためらっているのが現状。早期診断は症状を止められる場合があるのでまずは病院へ行って」と呼びかけた。

 また予防策として、外出して人と話す、ウオーキングなどの運動を定期的にする、新聞を読む、文字を書くなどを例に挙げ「どんな小さなことでも続けてください」と促した。(久保吉史)

 

 

 

 

認知症の知識

 認知症辞典(三宅貴夫編認知症何でもサイトより)アイウエオ順

アルコール性認知症 
 長期に多量の飲酒を続けていると持続的で非可逆的な認知症の状態になることがあります。これはDSM−Wでは物質起因性持続性認知症の一つとされ、アルコール性認知症とよびます。長期多量に飲酒している一部の人でも断酒すれば認知症に改善がみられることがあります。
アルツハイマー病
 わが国では認知症の原因のおおよそ60%を占める進行性の中枢神経の疾患。1906年にドイツの精神科医師アロイス・アルツハイマー(Aois Alzheimer)がこの病気を経過と脳の顕微鏡的変化などを初めて報告したので彼の名前がつけられました。当初は65歳未満の比較的まれな病気と考えられいたが、以前、老人に多い「老年痴呆」と呼ばれる病気と基本的には同じものであり、現在は年齢に関係なくアルツハイマー病と呼ばれ、これによる認知症をアルツハイマー型認知症といいます。
 アルツハイマー病は、年齢と共に多くなり、いつとはなしに発病します。進行の仕方はさまざまで急速に進むアルツハイマー病もあれば、あまり進行しないアルツハイマー病もあります。その経過は5年から10年といわれているが20年近く生きる人もいます。症状は通常もの忘れのに始まり、判断が障害され、失禁や失語が現れ、末期になると行動が緩慢となり、横になっていることが多くなります。また感情も乏しくなり、喜怒哀楽の表情もなくなってきます。嚥下障害も現れ、食べたり飲み込まなくなります。こうした状態から通常は衰弱死します。アメリカでは死因の第7位です(2005年)                                                                               
1)原因
 原因は不明である。アルツハイマー病の人の脳にはアミロイド斑(老人班)や神経原線維性変化とよばれる変化を認められ、前者にはアミロイド前駆蛋白から生成されるベータアミロイド蛋白が、後者には異常タウ蛋白が関与しているという説(アミロイドカスケード仮説:アミロイド蓄積→神経原変化線維→神経細胞死)が有力です。また遺伝、活性酸素、炎症、ホルモンなどが複合的な要因として絡んで発病、進行させると考えられています。さらにアルツハイマー病では脳の神経伝達物質が減少し、また神経細胞の働きが衰え細胞数が減少し、結果的に脳萎縮が起こります。
2)診断
 診断はDSM−Wのアルツハイマー型認知症に診断基準による。その概要は以下のとおりです。
 1、記憶障害がある
 2、失語、失認、失行、実行機能障害のどれかがある
 3、1と2のために職業や社会生活に支障をきたす
 4、いつとはなしに発病し進行性である 
5、脳血管障害などの他の脳の疾患によらない
6、意識ははっきりしている
 この診断基準の5以外は症状や状態だけで判断できますが、5については医学的な診察診断が必要となります。具体的にはCTやMRIなどの画像診断、血液検査を行い、他の疾患によらないと除外診断します。また長谷川式スケールなどの心理テストを行います。しかしもっとも重要なことは経過と現在の状態を正確に把握するこです。死後の脳解剖のほかアルツハイマー病を確定診断できる方法は現在なく、症状と検査から総合的に診断します。なお脳脊髄液中のタウ蛋白質がアルツハイマー病の指標(アルツハイマー病マーカー)として注目されてはいますが、診断の補助的なものです。
3)危険因子・保護因子と予防
 欧米および日本でのアルツハイマー病の疫学的調査結果によると、危険因子として@年齢 A性別(女性) B遺伝 Cアポリポ蛋白E4 D高血圧 E高脂血症 F糖尿病 G肥満 Hホモシスティン Iタバコ J頭部外傷などが認められ、保護因子として @魚 Aビタミン(C、E、葉酸、ニコチン酸) B抗炎症剤 C女性ホルモン D飲酒(適量) E運動 F趣味などが認められています(ただし否定する報告もある)。これらはすべて非介入の追跡調査による結果で介入追跡調査ではなく、どの程度コントロールしたらアルツハイマー病が防げるかどうかよくわかっていませんが、危険因子を減らし、保護因子を増やすことでアルツハイマー病の一部を予防することができそうです。
4)遺伝
最近病気の遺伝についての研究が広く行われ、アルツハイマー病も例外ではありません。その結果、アルツハイマー病の遺伝についていくつかのことが解明されています。しかしその多くは65才未満で発病する若年期アルツハイマー病についてです。確かに、若年期のアルツハイマー病は兄弟の間で発症しやすいなど「家族性アルツハイマー病」と呼ばれる病気があり、遺伝的な関係は以前から指摘されていました。現在4つの遺伝子が確認されておりますが、これはわが国でもアルツハイマー病のごく一部で数%です。ただしアルツハイマー病になりやすい因子であると言われているアポリポ蛋白E4については高齢期のアルツハイマー病の要因として無視できないと言われています。こうした病気の遺伝の研究は今後もどんどん進んでいくでしょう。これは遺伝の最も基本となる核酸(DNA)の研究技術が開発されたことが背景にあります。これによっていろいろな病気の遺伝的背景が明らかにされつつありますが、その結果が治療につながることはごく一部でほとんどは原因の解明や診断に役立っているだけです。その結果、家族内に若年期アルツハイマー病が出た場合の他の家族への発病の心配、社会的な偏見や差別の助長など研究が進むことの不利益と思われることも少なくありません。しかしアルツハイマー病の遺伝の研究は今後とも進み、原因究明や治療につながる可能性があるので、研究と同時に患者や家族への「遺伝相談」などの体制をつくることも同時に進めて行くべきでしょう。
5)治療
@薬物療法
アルツハイマー病の薬による治療は、世界的にはドネペジル(商品名:アリセプト)、リバスチグミン(同エクセロン)、ガランタミン(同:レミニール)があり、これはどれも脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンを補なうものです。軽度から重度のアルツハイマー病に有効ですが、このうち日本ではアリセプトしか承認されていません。服用方法、効果、副作用において最も優れている薬はアリセプトと考えます。この他に、アルツハイマー病の薬として前期の薬と作用が異なり対象を中程度から重度のアルツハイマー病とするメマンチン(商品名:エビキサなど)という薬も欧米で使用されています。いずれもアルツハイマー病の進行を抑えたり、治すものではなく、症状を一時的に改善するだけで効果期間も限られています。アミロイド蛋白の産生を阻害する作用のある根本的治療薬と思われる薬の臨床試験が行われています。
A非薬物療法
音楽療法、回想法、リアリティーオリエンテーション、ガーデン療法、ペット療法、芸術療法、アロマテラピーなど試みられていますが、アルツハイマー病の症状を軽快する効果はあると言われていますが、科学的に証明されたものではありません。
エイズ 
 後天性免疫不全疾患(Acquired Immune Deficiency Syndrome)の英語の略称。エイズウイルスに感染すると発病するが、病気の進行に伴い末期に脳神経が侵され認知症症状を示すことがあります。昔、梅毒により脳神経系疾患の進行麻痺)で認知症がありましたが、現在患者はほとんどいません。それに代わり性的接触による「伝染する認知症」としてエイズがあるといえます。
クロイツフェルト・ヤコブ病 
 ビールスより小さい病原性をもつプリオンという蛋白質で運動障害や認知症状態を発症し進行の早い病気。ドイツのCreutzfeldtとJakob医師が初めて報告し、単にヤコブ病とも言います。記憶障害が急速に進み、不随意運動など神経症状も現れる進行の早く、1年以内に70%が死亡します。100万人に1人ほどの稀な病気であったが、海綿状脳症(BSE、狂牛病)との関連で注目され、人に感染した場合変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と呼ばれていますが、病態は同じと考えられています。イギリスで多発し、わが国でも1名の患者が報告されました。また日本では脳外科治療でこの病気のプリオンに汚染された硬膜の移植によって発病している例が少なからずあり、薬害として裁判にもなりました。この病気は感染する認知症とも言えます。
軽度認知障害
 英語でMild Cognitive Impairment(MCI)といい、アメリカのピーターソンの診断基準では次の5つを満たす状態をいいます。@物忘れの訴えがある。A客観的に記憶障害がある。B認知機能全般に大きな障害はない。C日常生活に基本的な支障はない。D認知症ではない。MCIの人はアルツハイマー病の前駆状態でアルツハイマー病になりやすいと言われていますが、診断基準も医学的根拠があいまいであるとする意見もあります。
混合型認知症
 通常は、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症との両方がある認知症のこと、後期高齢者に多い。
高次脳機能障害
 厚生労働省の2005年の診断基準によれば高次脳機能障害は以下のとおりです。
1. 事故による受傷や病気の事実が確認できる。
2. 記憶力、集中力の低下、感情抑制の困難などの症状があり、日常生活や社会生活に支障がある。
3. 原因と考えられる異常がMRI,CT、脳波などで確認できる。但し、脳の損傷などが時間的に消滅する場合は受傷当時の診断書で確認できればよい。
4. 受傷・発病前からの症状や発達障害・進行性疾患などが原因の場合は除く。
新しいことが覚えにくい、会話ができにく、仕事がうまくはかどらないなどの日常生活、仕事上の支障があり、正常でもなく認知症でもない状態であり、一見正常にみえ、怠けている、うつ病と間違って受け取られ、労働災害補償や交通事故の損害補償を受けられないなど社会的な理解を支援が得にくかったが、改善が図られつつあります。
若年期認知症 
 40歳以上65才未満で発病するまたはその状態にある認知症。18才以上65才未満する場合もあります。
原因疾患:若年期認知症の原因疾患は特別なものはなく基本的に高齢期認知症と同じでアルツハイマー病、脳血管障害が多いが、高齢期と比べ種類が多いのが特徴です。主なものとしてピック病または前頭葉型認知症または前頭葉側頭葉型認知症、レビー小体病、頭部外傷、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、ハンチントン病、進行性核上麻痺、皮質基底核変性症、脳腫瘍、エイズ、ダウン症、低酸素脳症など。このうち初老期に最も特徴的な病気はピック病といえます。
認知症の人と家族の状況:社団法人認知症の人と家族の会の調査によると、若年期認知症の関わる生活上の問題として3つあります。第1は家族の精神的負担です。50才代の若年期認知症の人の夫や妻、さらにその子供への精神的影響が強い。第2は経済的な負担です。まだ就労していた夫が認知症のために退職せざるを得なくなると収入は減る、あるいは認知症の妻の介護のために夫が退職せざるをえない場合も同様です。第3は社会的差別です。介護保険で若年期認知症の一部が認定対象となりましたが、例え認定されても高齢者が多い老人ホームやデイサービスは利用しずらい現状があります。また交通事故や脳腫瘍などで若年期認知症になった場合は介護保険のサービスを受けることができません.なお社団法人呆け老人をかかえる家族の会や若年期認知症家族会など当事者団体の取り組みがあります。
進行性核上麻痺
 症状は垂直性の眼球運動障害、歩行障害など神経症状で、認知症がみられこともあります。原因不明。英語で Progressive Supranuclear Palsy(PSP)という。
自己免疫性脳症
 代表的なものとして橋本脳症があります。甲状腺の自己免疫疾患である橋本病(別称:慢性甲状腺炎)に伴って現れることが多く、混乱、見当識障害、記憶障害などとともに認知症を呈することもあります。橋本病は稀ではなく治療可能な疾患であり、脳症は稀な疾患です。
正常脳圧水頭症 
 治る認知症のひとつで、認知症と歩行障害と失禁が3大症状です。人の脳脊髄の周囲には脳脊髄液があり、この液はゆっくり循環しています。しかし脳腫瘍などでこの流れが阻まれると脳内の液の圧が高まり頭痛や吐き気を呈することがあります。これに対して脳手術のあと、あるいは原因不明に脳脊髄液の流れがゆっくり阻害されて脳内の液の圧は高くならないが次第に脳室に液がたまり脳を圧迫することがあります。こうした状態を正常脳圧水頭症といます。この場合、早期に発見して脳脊髄液の流れを正常に戻すことで認知症が治ることがあります。脳外科手術は脳室または腰の脊髄腔から腹空内へ細いチューブを設置するもので負担の少ない手術です。但し発見が遅いと治療効果が期待できないこともあります。
前頭葉型認知症・前頭葉側頭葉型認知症
 前頭型認知症あるいは前頭側頭型認知症(英語でFront Temporal Dementia 略称FTD)ともあり、代表的な認知症としてピック病があります。このほか、前頭側頭型変性症ともいうことがあります。これは失語症が主な症状で認知症を呈さない疾患もあるからです。
ダウン症 
 染色体異常に伴う先天的知的障害のある病気。この病気の人が40才代にアルツハイマー病に似た症状を示すことがあります。このことからアルツハイマー病の遺伝の研究のきっかになったと言われています。また先天的な知的障害と新たな認知症が加わった状態をどのように診断するか、また知的障害と認知症とを併せ持つ人をどのようにケアするは余り取り組まれていない新たに課題です。
大脳皮質基底核変性症
 大脳の皮質及び皮質下の基底核の神経細胞の変性により、ぎこちない運動などの皮質症状と左右差のある震戦などなどの錐体外路症状とを認めるが初期には記憶障害があまり目立たちません。英語でCortico-Basal Degeneration(CBD)という。
低酸素脳症 
 人の脳の神経細胞は1分あるいは3分間酸素が遮断されると死滅すると言われています。窒息、心筋梗塞、全身麻酔中の事故などで脳の血流が一時的に止まったりして、脳の広範囲で低酸素状態が長くなると神経細胞が非可逆的に死滅した状態が低酸素脳症です。重度では意識がほとんどなく痛みにも反応しない「植物状態」になりますが、軽度では注意散漫になったり物忘れが目立つ認知症の状態の場合もあります。死滅した脳の神経細胞の再生はないので(もっとも脳のある部分では神経細胞は再生するとの報告がある)、状態は固定します。認知症の状態も進むこともなければ改善することもありません。
頭部外傷
 頭部の外傷は認知症に原因であり、また危険因子でもあります。前者として、転倒などで一回の強い打撲を頭部に受け、1週間から1月以内に生じることがある慢性硬膜下血腫の場合と、激しい頭部の打撲があるにもかかわらずCTでの所見が乏しい脳外傷(いわゆる脳震盪)による場合があります。これらは比較的短期間で認知症が現れます。後者として、長期に繰り返し頭部の打撲を受けた後数年ある20、30年後にアルツハイマー病を発症する可能性がある場合です。アルツハイマー病も含め認知症の予防に頭部外傷の予防が大切です。
脳血管障害 
 脳血管障害は脳卒中とも言われますが脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称です。高齢者では脳梗塞が最も多く、また比較的若い人はくも膜下出血が多い。脳出血は減少傾向です。脳血管障害は発病してそのまま死に至ることもあれば、ほとんど後遺症がない場合もあります。しかし死にいたることが稀で、後遺症を残すことが多く、片方の上下肢の運動麻痺、構音障害、嚥下障害、失語症、それに認知症の状態をもちながら生活を送っている人が多いのが現状です。また脳梗塞、脳出血では再発が少なくなく、再発を繰り返すなかで認知症が現れることがあります。脳血管障害による認知症を脳血管性認知症あるいは単に血管性認知症と呼びます。
脳腫瘍
 脳腫瘍は良性のものでも発生する部位によっては運動障害、視力障害、認知症を生じることがあります。早期発見し早期に脳外科的治療で認知症がなくなることもあります。悪性の脳腫瘍−例えば肺癌の脳転移−などでは上記の症状が進行性に悪化し最期は意識障害が生じる。
脳血管性認知症
 脳血管性認知症は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の脳血管障害による認知症。DSM−W(DSM−Wでは脳血管性認知症とはいわず血管性認知症という)では認知症の状態にくわえ「局在性神経徴候や症状または臨床検査の証拠が認知症に病因的関連を有すると判断される脳血管性疾患を示す」を条件としています。我が国では脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症が多いとされてきましたが、最近の調査ではアルツハイマー病より頻度が少なくなっています。脳血管性認知症の診断は容易なようで注意しなければならないことがあります。脳梗塞がそれによる片麻痺がある、さらに認知症があれば脳血管性認知症と診断してよいわけではありません。認知症の原因は脳梗塞ではなくアルツハイマー病かもしれないからです。このため脳血管障害の経過と認知症の経過とから判断しなければなりません。もっとも後期高齢者に多い多発性脳梗塞では発症時期のはっきりせず経過も緩慢なこともあり、アルツハイマー病との判別が難しいことがあります。脳血管性認知症は、脳梗塞などで発症するわけですが当初から認知症を発症することは少なく再発を繰り返すなかで認知症が次第に現れることが多い。したがって脳血管性認知症は、その危険因子―高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、心房細動など―をよく管理すれば予防も進行防止も可能な認知症です。また少量のアスピリンを服用することで脳血管性認知症の予防、進行防止が可能とする説もあります。
パーキンソン病
 手が震えて箸が持ちにくく身体が固くなり小刻み歩行で歩きにくいなどの全身的な運動障害の神経系の病気です。1900前半にイギシスのパーキンソン医師が報告したので名前がつけられました。一般に進行性であり、最期は常時臥床状態となることが多い。進行したパーキンソン病の人で認知症症状を示す場合が少なくありません。パーキンソン病は、抗パーキンソン剤という薬で改善しやすいのですが、その効果が減退することが多い。パーキンソン病症候群という病名は、パーキンソン病とパーキンソン病に似た症状を示す他の疾患によるものを含める場合と後者のみを示す場合とがある。後者についてはパーキンソンニスムとも言い、脳血管障害性パーキンソンニスムと呼びます。なお、日内で変動する認知機能、パーキンソン病様症状、幻視の症状があるレビー小体病と認知症を伴うパーキンソン病とは判別が困難なことがあります。
ハンチントン病
 脳内の線条体と呼ばれる部分にある細胞が失われることによって中年期に起こる進行性で遺伝性の病気です。1800年代後半にアメリカのハンチントン医師が報告したので名前がついています。「ハンチントン舞踏病」と言われていましたが、舞踏様の症状が共通するものではないのでハンチントン病と呼ぶようになりました。意思のとおりに動けないこと(舞踏様など不随意運動)、不安定な感情、そして認知症が主な症状です。
ピック病
 1892年チェコの神経学者であるピック医師が初めて報告したのでこの名前があります。若年期に発症する代表的な認知症です。しかし発症当初から認知障害は目立たず、初めは性格の変化をして現れることが多い。几帳面な人が服装が乱れても気にしなかったり、きれい好きだったのに風呂に入るのを嫌がったり、頼まれた仕事を中途半端にするなどの変化から発病に気づくことが多い。家族は怠けている、不満がある、うつ状態などと思い病気に気づくが遅れることが少なくありません。本人は病気と捉えることは少なく受診を嫌がります。病気の進行と共に記憶障害などの認知症症状が現れてきます。頭部CTの検査では特徴的に頭の前の部分(前頭葉)の萎縮が著明です。治療方法はなく、介護が中心となりますが、アルツハイマー病以上に困難なことが多い。通常の説明では納得しないばかりか、反論もしっかりしていることがあります。介護の基本は本人の合わせ言うことに逆らわないことですが、実際には難しい。イギリスではピック病支援グループがあり、家族らに情報提供、電話相談、専門職への紹介、デイケアの試みなどが進められています。最近はピック病を前頭葉型認知症と呼んだり、前頭葉側頭葉型認知症グループの一疾患としてとらえることが多くなっています。
まだら認知症
 認知症の人は認知機能が低下していますが、記憶、判断、学習、見当識などの機能が同じように低下するわけではなく、低下の仕方にばらつきがあります。最近の出来事はほとんど覚えていないが、昔のことは鮮明に覚えている認知症の人がいます。食事の食べ方は乱れているが、字はしっかり書くことができる認知症の人がいます。こうしたまだら状の認知症に対しては、しっかした部分、すなわち残存機能に目を向け尊重し、できない部分には理解し支えていく対応が求められます。
慢性硬膜下血腫
 高齢者が転倒などで頭部打撲した後に頭蓋骨の内側にある硬膜の下にできる血腫。数日から1月後にぼんやりするといった意識低下、歩行障害、時に認知症が現れることがあります。早期発見して脳外科的治療を受けることで治ることが多い外傷性の病気で、代表的な治る認知症のひとつです。
レビー小体病
 ドイツのレビー(Lewy)医師が1912年に初めて報告したこの進行性の病気は、顕微鏡で中枢神経系にレビー小体が広く認めます。欧米ではアルツハイマー病、脳血管性認知症についで多い認知症として見られているわりには、わが国ではまだ多くはないようです。レビー小体病の多くは「瀰漫性レビー小体病」で、一日のうちで変動する認知機能、パーキンソン病のような運動障害状および幻覚―多くは幻視―が主な3症状です。原因も治療方法もよくわかっていません。介護は、アルツハイマー病に同じです。パーキンソン病が進行すると認知症が現れることがありますが、これとレビー小体病は区別しておかなければなりません
加齢関連認知低下
 主に加齢に伴う認知機能の低下で、軽度認知障害でも認知症でもない状態。英語でAging-associated Cognitive Decline(略称:AACD)といい、国際老年医学会では以下の診断基準を示しています
1.本人または信頼できる他者から認知的低下が報告されること
2.始まりが緩徐で6 ヶ月以上継続していること
3.認知的障害が、以下のいずれかの領域での問題によって特徴づけられること。
(a)記憶・学習、(b)注意・集中、(c)思考、(d)言語、(e)視空間認知
4.比較的健康な個人に対して適応可能な年齢と教育規準が作られている認知評価おいて異常があること。
5.除外規準
上にあげた異常のいずれもがMCI または認知症の診断に十分なほどの程度でないこと。身体的検査や神経学的検査や臨床検査から、脳の機能低下を引き起こすとされる脳の疾患、損傷、機能不全、または全身的な身体疾患を示す客観的な証拠がないこと。
                 ☆☆☆☆☆
うつ状態
 うつ状態とは、気分が落ち込んでいる感情(抑うつ気分)、だるい、頭が重い、食欲がないなどの身体的症状、および不眠が大きな症状で、このため、考えたまとまらない、もの覚えが悪いと認知症と見間違いことがあります。もっとも認知症にうつ状態が併せて出ることもあります。うつ状態を便宜的に、躁うつ病としてうつ状態、神経症としてのうつ状態、日常的な心理反応としてうつ状態に分けることができます。躁うつ病では、以前から周期的にうつ状態になる傾向があり、本人もそれとなく状態の変化に気づいていることが少なくありません。このうつ状態には抗うつ剤が有効のことが多い。神経症としてうつ状態(抑うつ神経症)は、何か出来事をきっかけに性格的な反応として、持続的で生活に支障をあり治療的な関わりがないと悪化しやすい。高齢者に多いの、発病、障害の悪化、子供や配偶者との離別や死別、転居、施設への入所など本人にとって不利になること、悲しいことといったできごとに加え、物事を悪く捉え前向きに考えないような性格的傾向とが相まってうつ状態になります。こうしたうつ状態には、カウンセリングなど心理療法と抗うつ剤による薬による治療を合わせて行います。日常的に経験する反応としてうつ状態は、配偶者の死亡や本人の失禁など神経症の場合ときっかけは同じですが、数時間または数日で改善するものです。多くは「日にち薬」でよくなることが多くい。うつ状態の人に接するさいに注意することは、決して激励しないことです。初めは、共感と受容の姿勢で話に耳を傾け聴きます。「それは辛いね」「心配だね」と相槌をうちます。「そんなことでくよくよしてはだめ。もっと元気をだして」「ここでがんばりましょう」とは言わないことです。うつ状態の人が自らの精神状態について理解し整理ができかけたころ少し激励するのはよいかもしれません。しかし、こことき自殺することが少なくないので見守りが必要です。認知症の人もうつ状態になります。もの忘れがひどく情けない、考えがまとまらなく仕事もできないと自分を責めてうつ状態になる事を稀ではありません。うつ状態が認知症の始まりなのか、抑うつ神経症だけなのか判断が必要なことがあり、精神科などの受診が必要でしょう。また、うつ状態はアルツハイマー病など認知症の危険因子とする報告もあります。
家族性プリオン病
 致死性家族性不眠症(Fatal Familial Insomnia:FFI)のことで、幻覚、不眠症、不随意運動、認知症を呈する神経変性疾患。プリオン蛋白遺伝子の変異した家系に見られるが、日本では極めて稀です。
記憶障害
 記憶障害は認知症の中心的で不可欠な症状です。記憶障害だけの場合で、通常の加齢の伴う場合を生理的記憶障害といい、加齢に関係し病的ではあるが認知症ではない状態を軽度認知障害といいます。また病気な記憶障害だけの状態を健忘症といいます。認知症とは、記憶障害に加え、失語、失認、失行、実行機能障害のひとつがあり、これらのために生活に支障をきたしている状態です。
結晶性機能
 人の知的機能のなかで比較的若い頃から長期かつ持続的に形成された機能のことを言います。人の知的機能を便宜的に流動性機能と結晶性機能との分けることができます。このうち結晶性機能とは、生後間もない時期から、あるいは長期にわたって、あるいは持続的に獲得した機能で、精神機能のとして「結晶化」され減退、消失しにくい機能です。例えば、幼少時から覚えた日本語、青年期に覚えた歌、茶碗と箸の使い方、職人として培われた技能などは高齢になっても維持され容易にはなくならない機能です。 認知症が進むなかでこうした結晶性機能さえ衰え失われてゆきます。歌を忘れ、箸の持ち方もわからなくなり、まとまりのある絵も書けなくなり、最期には日本語も乏しくなってしむことがあります。
健忘症
 記憶障害だけの状態。加齢に伴う生理的記憶障害を「良性健忘症」と呼ぶことがありますが、通常は、脳の外傷、脳血管障害などで生じ、生活に支障をきたしますが、健忘の程度にもよりますが、もの忘れを自覚して一人で生活は不可能ではありません。認知症や軽度認知障害とも異なる記憶関連疾患で、治療は困難です。
幻覚
 幻覚には、見えないはずの物が見えたり(幻視)と聞こえない音や声が聞こえる(幻聴)が多い。認知症に限らず高齢者に生じやすいのは幻視で、ふとんの上に猫がいる、壁に虫がはっているといった症状です。認知症に伴って現れることがありますが、せん妄やパーキンソン病の薬などでも生じることがあります。
幻覚妄想状態
 幻覚と妄想が共にあるいは一方だけが現れる状態。通常一時的で、高齢者に少なくなく原因として最も多いのは薬です。抗パーキンソン病剤では、幻覚が生じやすい。幻覚妄想状態は、記憶障害を伴う認知症、意識障害を伴うせん妄で生じることがありますが、持続的な妄想をもつ妄想症とも異なります。
原発性進行性失語症
 若年期に発症する失語症で認知症を併発することが多く進行性で、脳細胞の変性が原因です。英語でPrimary Progressive Aphasia (PPA)という。
行動障害
 認知症の人の「問題行動」といわれていた一連の行動は介護者の視点からの定義であり、適切な用語でないと、これに代わって「行動障害」という用語があります。「認知症の行動と心理症状(BPSD)」と同じ意味で使われることもあり、簡単に「日常生活のおける目的にかなっていない不適切な行動」と定義することもあります。行動障害の範囲は明確でありませんが、一般的に、徘徊、異食、夜間不眠、不潔行為、暴行、暴言などのことをさします。問題行動は認知障害にもとに認知症の人の精神状態や環境状態によって生じると理解され、これには不適切なケアによっても起ります。なお行動障害は精神医学分野でアルコール依存や薬物依存に伴う行動のことをいい、また小児精神医学分野では発達障害に伴う行動のことをいい、以下のような定義があります。行動障害とは「発達障害を持った人達の環境への著しい不適応を意味し、激しい不安、興奮、混乱の状態で、結果的には、多動、疾走、奇声、自傷、固執、強迫、攻撃、不眠、拒食、異食などの行動上の問題が日常生活の中で出現し、現状の養育環境では処遇困難なものをいい、そうした行動面から定義する群である」(弘済学園園長飯田雅子氏)。
向精神薬
 人の精神活動に影響する薬。統合失調症に使用される抗精神病薬、抗不安剤、抗うつ剤、抗躁剤です。睡眠剤、その多くは睡眠導入剤、も向精神薬に含めることがあります。向精神薬は、認知症の人の不安、うつ状態、不眠などの適切に処方されると効果的ですが、不眠、不穏、徘徊などの「問題行動」をコントロールする管理的目的あるいは薬物的拘束として使用されることはできるだけ避けない。さらにアメリカの食品医薬品局(FDA)などでは、抗精神病薬が認知症のBPSD(認知症の行動と心理症状)に無効であるだけでなく、脳血管障害の発病を増やすなど認知症への処方を控えるべきとの提言を出しています。
せん妄 
 認知症と区別しなけばならない精神障害の一つ。せん妄とは、意識障害があり、幻覚や妄想に伴う不穏な状態をいいます。ぼんやりしている程度の意識障害の場合は認知症と見間違うことがあるがあります。ただし認知症の人がせん妄になるこもあります。高齢者では、発熱、肺炎、手術後に生じやすい。したがって治療は、せん妄の原因疾患を治療することですが、一時的に抗精神病薬を使うと効果的なことがあります。
多発性硬化症
 中枢神経系の神経を取り巻いている髄鞘が欠落する疾患で、この脱髄が起こる場所によって症状が異なり多様です。視力低下、視野欠損、眼球麻痺、運動障害、排尿障害などが起こりますが、かならず認知症になるわけではありません。英語でMultiple Screlosisといい、略称MS。
中核症状 
 認知症の知的機能の低下である記憶障害、判断の障害、見当識障害などの症状。これに伴う幻覚、妄想、不穏、徘徊などを副次症状または随伴症状と言います。
ビンスワンガー病(ビンスワンガー型白質脳症)
 ビンスワンガー病は、高血圧や脳の動脈硬化などにより脳の血流障害のため大脳白質(脳の深い部分)が広範に障害されることによって認知症が現れることがあります。急性に発症することもあり、徐々に進行することもあります。記憶障害、うつ状態、意欲の低下、など精神症状のほかに、神経症状としては、緩慢な動作、小刻歩行などがみられます。頭部CTでは側脳室の周囲に対称性の広範な低吸収域がみられるます。
副次症状 
 認知症の人の記憶障害、判断障害など知的機能の障害を中核症状というのに対して、不穏、徘徊、不潔な行為、うつ状態などを副次症状と言います。
妄想症  
 認知症と区別すべき精神障害のひとつで、妄想のみで知的機能の低下はありません。妄想の多くは被害妄想で、「隣の人が自分が居ない時に家に入り、金を持って行く」、「嫁がいつの間にかご飯のうえに毒をまいている」など根拠の乏しい被害を訴えます。しかもその思い込みは通常の説明や説得では納得しません。
この妄想症は、女性高齢者に多い傾向を見受けます。しかも一人暮らしの女性です。妄想症の人の生活歴などをみると、もともと猜疑心を強い性格をもって周囲との関係もよくなく、猜疑心のためますますその関係が悪くなり、これが猜疑心を強めるといった悪循環のなかで妄想症がつくれるようです。こうした人は家族内でも人間関係に軋轢が多くなり、離婚、子供達の別居といった関係になり、結果的に一人暮らしになっていると考えます。さらに一人暮らしをすることで自己防衛的になり妄想症を強めるようです。また視力、聴力が低下した高齢者では妄想症が一層強くなります。 妄想症の人は、周囲が悪い、自分が被害者と思っているが、妄想のなかにあって孤立していることが不安が強く、できれば誰かへの依存したいと思っていることがあります。従って、妄想症の人に対しては、威圧的な説得は効果がないばかりか、逆効果です。明らかにありえないと思われる話や訴えにとにかく耳を傾け、話を聞きます。こうして人間関係をつくりながら、「私はそうは思いません」がと宴曲に否定してみるのもよいでしょう。こうした対応をしても周囲とのトラブルが絶えず、精神科病院へ入院せざるをえないこともあります。
問題行動 
 認知症の人を介護する際に、「問題行動」という言い方をされることがあります。何度も同じことを聞かれる、「お金がなくなった」と問い詰められる、食べ終わったとたん「食べてない」と食事を要求する、「家に帰る」と言い張るなどの言動を「問題行動」と呼ぶことがあります。確かにこうした言動で介護者は困惑し、介護者にとっては「問題行動」でしょう。しかし認知症の人がなぜ「問題行動」をとるのか、介護者の無理解や不適切な対応、生活環境などがその行動の原因になってはいないだろうかと認知症の人の立場に立っての推測することは「問題行動」とは何かを立場を変えて考えることになるでしょう。例えば、失禁は介護者にとってよく遭遇する認知症の人の「問題行動」です。さらにオムツをあてがうと認知症の人は一生懸命取り外そうとするかもしれません。この行動は、介護者からみると「問題行動」でしょうが、認知症の人からみると不愉快なオムツをあてがわれたことが「問題行動」かもしれません。このように介護者と認知症の人のそれぞれの立場で「問題行動」の捉え方が異なり、またある介護者にとって「問題行動」は別に介護者にとってはそうでないこともあります。このため客観的な「問題行動」というものはなく、介護者と認知症の人の間でのことであるため、より客観的な概念として「認知症の行動および心理的症状(BPSD)」という用語が使われるようになっています。
夜間せん妄
 夜間に起こるせん妄のことですが、せん妄が比較的夜間に起こりやすいのでこの用語が使われていると思われます。しかしせん妄は軽度の意識障害が伴う幻覚・妄想の状態で不穏になる状態ですが、この状態ではなく、単に不穏というだけで夜間せん妄と言っている例が少なくないようです。確かに認知症の人にとって夜間は認識、判断がしにくい時間帯であり、せん妄のような状態になるか、せん妄の状態が悪化しやすいと思われます。 せん妄の原因(例えば脱水)を推測しながら、その原因治療と部屋を真っ暗にしなしなどの環境面の工夫と、できるだけ安心できるような会話に加え、抗精神病薬が有効なこともあります。
夕暮れ症候群
 認知症の人のなかに、夕方になると落ち着かなくなり、「家に帰る」と言ったり、幻覚・妄想が出やすくなることを夕暮れ症候群(英語でSundown Syndromeという)と言います。夕暮れは一日のうちのなかで人を不安にしやすい時間帯です。このときに記憶や判断が低下している認知症の人が精神的に不安定になりやすいことが症状に背景にあると思われます。